介護施設向け配食サービスへの切り替えを検討するとき、「外部から食事を仕入れても療養食加算は算定できるのか」という点が気になる施設も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、療養食加算の算定要件に「施設内の厨房で調理すること」という条件はありません。医師の食事箋に基づいた食事が提供され、施設の管理栄養士・栄養士が栄養管理を担っていれば、配食サービスを活用しながら算定することは可能です。
本記事では、療養食加算の単位数と3つの算定要件を整理したうえで、配食サービスを導入する際に確認しておきたいポイントを解説します。
療養食加算とは?単位数と算定できるサービス
療養食加算は、医師の指示に基づき、疾病治療の直接手段として提供される食事(療養食)を評価する介護報酬上の加算です。栄養面の個別対応にかかる手間を、報酬として施設が受け取れるように設けられています。
単位数は1回6単位・1日3回まで
介護老人福祉施設(特養)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院では、1回6単位、1日3回(1日18単位)を限度に算定できます。短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)では、1回8単位、1日3回(1日24単位)が上限です。
1食あたりでは大きな金額に見えないかもしれませんが、対象となる利用者が多い施設では確実に積み上がります。たとえば特養で30名が1日3食の療養食を利用した場合、1か月あたり16,200単位。1単位10円で換算すると月額約16万円、年間では約190万円の差になります(地域区分により金額は変動します)。
算定できるのは入所系とショートステイ
療養食加算を算定できるのは、特養・地域密着型特養・老健・介護医療院と、短期入所生活介護・短期入所療養介護です。通所介護(デイサービス)やグループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は、介護報酬上の加算の対象には含まれていません。なお、介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、介護医療院などへ移行しています。
ただし、これは「療養食への対応が不要」という意味ではありません。加算の対象に含まれない施設では、人件費や厨房の設備費・光熱費、食材ロスの削減といった支出面の効果で導入メリットを測ることになります。制限食や食形態への対応力そのものは、入居者やご家族に選ばれる施設づくりの材料としても有効です。
対象となるのは9種類の療養食
加算の対象となる療養食は、糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食、特別な場合の検査食の9種類です。貧血食や脂質異常症食などは、対象となる検査数値の基準もあわせて定められています。
一方で、高血圧症を理由とした減塩食は、それだけでは加算の対象になりません。病名と食種の対応には細かな取り扱いが定められているため、判断に迷う場合は、管轄の自治体・保険者や、療養食に詳しい配食サービスの管理栄養士に相談するとよいでしょう。
療養食加算の算定要件は3つ
療養食加算を算定するには、次の3つをすべて満たす必要があります。
①医師が発行した食事箋に基づいていること
療養食は、あくまで医師が疾病治療の手段として必要と判断した食事です。医師が発行した食事箋に基づいて献立表を作成し、指示された内容の食事を提供する必要があります。
ショートステイの場合は、利用のたびに食事箋を発行してもらう運用が求められます。
②管理栄養士または栄養士が食事の提供を管理していること
食事の提供が、管理栄養士または栄養士によって管理されていることが要件です。献立の確認、栄養量のチェック、提供状況の把握といった栄養管理の責任は施設側にあると考えるとわかりやすいでしょう。
③年齢・心身の状況に応じた栄養量と内容であること
利用者の年齢や心身の状況に対応した、適切な栄養量および内容の食事が提供されていることが求められます。食事箋の指示と実際に提供した食事の内容が一致していることを、記録として残せる体制が必要です。
配食サービスを使っても療養食加算は算定できる
「施設内で調理すること」は算定要件に含まれていない
3つの要件を見てわかるとおり、「どこで調理したか」は算定要件になっていません。重要なのは、医師の食事箋どおりの栄養量・内容の食事が提供され、その管理を管理栄養士または栄養士が担っているかどうかです。
介護保険施設の運営基準の解釈通知(平成12年3月17日 老企第43号)でも、食事の提供に関する業務については、栄養管理・調理管理・材料管理・衛生管理などについて施設自らが行うなど、施設の管理者が必要な注意を果たし得る体制と契約内容により食事サービスの質が確保される場合には、施設の最終的責任の下で第三者に委託することができるとされています。
つまり、配食サービスを利用する場合でも、献立の確認や栄養管理の責任を施設側が持ち続ける体制であれば、加算の算定と両立できるということです。
配食会社に確認しておきたい3つのこと
実際に配食サービスで加算を算定するには、配食会社側の対応力が鍵になります。選定時には、次の3点を必ず確認しておきましょう。
1つ目は、療養食のラインナップです。糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食など、自施設の利用者に必要な食種がそろっているか、また食形態(刻み食・ムース食など)との組み合わせにも対応できるかを確認します。
2つ目は、書類の提供体制です。献立表や栄養価計算書など、加算の算定と実地指導への対応に必要な資料を、必要なタイミングで受け取れるかどうかは実務上の分かれ目になります。
3つ目は、施設側で献立の内容や栄養価を確認・調整できる仕組みがあるかです。栄養管理の責任は施設が持つことになるため、献立データの提供や管理栄養士への相談窓口など、栄養管理を一緒に進められる体制が整っているかを見ておくと安心です。療養食加算の算定実績を公開している会社であれば、導入後の運用イメージもつかみやすくなります。
導入前に押さえておきたい手続き面のポイント
食事の提供体制を変更する際は、届出や記録の整備といった事務手続きが伴います。必要な手続きや様式の案内は指定権者である自治体によって異なることがあるため、導入スケジュールを組む段階で管轄の自治体・保険者に確認しておくとスムーズです。
この点でも、介護施設への導入実績が豊富な配食サービスであれば、必要な書類や進め方について相談しやすいのがメリットです。問い合わせの際に、これまでの導入事例をあわせて聞いてみるとよいでしょう。
療養食加算を算定するうえでの注意点
おやつは対象外。1日3食が上限
10時や15時に提供するおやつは、加算の対象に含まれません。算定できるのは1日3食までです。
また、食事療法によって検査数値が改善した場合でも、医師が食事療法の必要性を認めている間は算定を継続できます。療養食にかかる費用は加算で評価されるため、通常の食費とは別に上乗せして利用者から徴収することはできません。
経口移行加算・経口維持加算とは併算定できる
特養・地域密着型特養・老健・介護医療院では、経口移行加算または経口維持加算と療養食加算を併せて算定することが可能です。嚥下機能の低下した利用者が多い施設ほど、両方の加算を視野に入れた食事提供体制を組む価値があります。
実地指導に備え、食事箋、献立表、栄養価計算書、提供記録は確実に保管しておきましょう。
まとめ:加算に対応できる配食サービスを選べば収益と負担軽減を両立できる
療養食加算は「施設内で調理しているかどうか」ではなく、医師の食事箋に基づく療養食が提供され、管理栄養士・栄養士が栄養管理を担っているかで判断される加算です。つまり、配食サービスを活用しながら療養食加算を算定することは十分に可能です。
療養食に対応した配食サービスを選べば、厨房の人手不足や設備コストの課題を解消しながら、加算による収益も確保できます。選定の際は、食種のラインナップ、書類の提供体制、そして栄養管理を一緒に考えてくれるかどうかを軸に比較してみてください。
このサイトでは、独自調査した中からおすすめの施設向け配食サービスを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。単位数や算定要件は介護報酬改定により見直される場合があるため、算定にあたっては最新の告示・通知および管轄自治体の指導内容をご確認ください。
おすすめ
介護施設向け
配食サービス3選

- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
(アイサービス)
- 1日当たり
- 693円(税込)~
(※一部の離島に関しては配送条件が異なる場合あり)
- 独自の調理方法により、少量のムース食でも十分な栄養価が摂れる
- 1施設1担当の専任制で、管理栄養士が献立作成から監査対応の帳票準備、栄養マネジメントまでサポート
- 特養での導入において、療養食加算取得率100%を達成(※2010年2月〜2026年4月実績)
- デイサービス
- グループホーム
(グローバルキッチン)
- 1日当たり
- 685円(税込)~
(※一部の離島に関しては配送条件が異なる場合あり)
- 昼食のみや単品のみ、1人前、行事食の単発購入にも対応
- 注文から最短3日で納品なため、急な食数増減にも対応できて無駄がない。納品日は曜日・時間帯指定可能(※日曜を除く/地域により金曜・日曜を除く)
- 契約制ではなく「会員登録制」なため、事前登録しておけば必要な時のみ発注可能
- サ高住
- 有料老人ホーム
(クックデリ)
- 1日当たり
- 740円(税込)~
(※一部の離島に関しては配送条件が異なる場合あり)
- 料理研究家が企画段階からテスト調理・サンプルチェック・改良まで監修
- 季節の行事や二十四節気、旬の食材を活かした献立を考案し「食の楽しみ」を演出
- 施設の状況に合わせ、「朝食だけ」「土日だけ」「一品だけ」など部分導入が可能
※参照元:アイサービス公式HP(https://ai-service.jp/rakuraku-gozen/)2026年6月1日調査時点

